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ネット上の嘘っぽい情報を検証するっぽいブログ
2017/07
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最近気になるのだけれど、ネットワーク上では「素人が素人に下らないこと(あるいは間違った知識、無価値な情報)を教える」というヘンな連鎖が目立って増えている。無理をして「情報を発信したい!」と思ってしまうのは自由だが、それを読んだ人が間違った知識を正しいと思いこんでしまったとしたら、その情報は無価値というより、むしろ負の価値をもつと思われる。
てことで、第一回目は、おいらの職業である写真についてみてみよう。

写真をちょっと面白くする構図のくずし方(ハックルベリーに会いに行く)

たまたま目に付いたこのエントリー。申し訳ないが、かなり無茶だと言わざるを得ない。
これを信じて写真が下手になっちゃう人がでたら気の毒だから、いくつか指摘しておこう。
(まずは上のエントリーを一読してから以下を読んで頂ければ話がわかりやすいでしょう)。

>>構図の基本は、何とも言っても「見て気持ち良いかどうか」です。
>>そして気持ちの良さというのは、まずは「フレームの中にちゃん
>>と収まっているかどうか」によって決まってきます。

美術史の中で、原始的なある一時期にそういう言説がまかり通ったかも知れないけれど、ずいぶん昔から構図についてはもっとまともな技法や考え方が知られている。構図の基本といえば、通常は幾何学的な着想をもとにして定型化された考え方を指す。
したがって、フレームの中にちゃんと収まっている=いい構図と考えることは通常ありえない。ていうか、そんな単純な話ではない。

>>これは安藤広重がよく用いた手法なのですが、風景というのは、手前に
>>物を配置したとたん、グッと面白くなります。

一般的には逆だろう。
日本では「写真は引き算」とよくいわれるけれど、実際のところ主題より手前に物を写し込んだ場合、よい写真になるケースは希だ(そういう撮り方だと、かなりのセンスを要求される)。
ただ、広角レンズで比較的すっきりとした風景を撮る場合、「手前に強いポイントがほしい」と思う場合がある。
ただ、それが単純に構図の問題であるかどうかは微妙だ(注)。

>>上の写真は、上下左右、木がすっぽりと画面に収まっていて、とて
>>も気持ちの良いものとなっています。しかし逆に、収まりすぎてい
>>て面白味に欠けます。それに対して、下の写真は大胆に上と左右を
>>裁ち切っています。そして、対象にググッと肉薄しています。こう
>>することで、大胆さや力強さを演出し、独特の面白味を生み出すこ
>>とに成功しているのです。

よい写真を撮ろうと思ったら、まずこのように変な自信を持たないことが大事だと思う。「とても気持ちの良いものとなっています。」とこの記事の筆者は自賛しているけど、正直構図として中途半端だ。手前に変な看板が写っているし、主被写体の背景が整理されていないからものすごく素人くさく見えている。この写真は「収まりすぎていて面白みに欠けます。」っていうわけじゃなくて、「整理できていなくて写真作品として成立していない」ってことが最大の(そして致命的な)欠点だと、おいらは思う。
そして、この写真を掲載する時点で、この人は写真を選べていないっていうことがいえる。さらにいえば、この「写真を選ぶ」っていう作業は、ことのほか難しい。
なぜなら、おしなべて人は自分が撮った写真が好きだからだ(自分が撮った写真を冷静に評価できるようになったら、その時、その人はかなり写真がうまくなっているはずだ)。

そして……いろいろ言いたいことはあるけど、逐一考察していたら話が終わらなさそうだ。
もうちょっと根本的な問題に触れておくだけにしよう。この人は写真を理解していない、といえるのだけれど、写真を理解していない人が写真を語っていることが問題だと、おいらは考える。

いやしかし……。

どうして素人が素人に写真を(いや写真だけじゃなく様々なことを)間違って教える時代になってしまったのだろうか? Yahoo!知恵袋なんかもかなりやばいことになっているけど、どうしてなんだろうか? なぜネットワークは浅薄な思考や誤解に基づく情報を広めはじめたのだろうか?

今すぐ答が出るとは思えない深い問題だけど、とにかく答を探しておいた方がいいのではないかと思う。放置してしまうと、ネットワークが文化や思想を劣化させる装置になってしまうんじゃないかと、そこはかとない焦りを感じるからだ。

それら無価値な、あるいは低価値な情報の作者は誰に、何を伝えようとしているのだろうか。



【注】
広角レンズで風景写真を撮る時に手前にポイントをもってくる、というのはちょっとしたセオリーだけれど、それを単純に構図の問題といいきることもできない。レンズワーク(広角レンズの特性)もからんでくるし、多くの場合その時に被写界深度をふかくとる(絞り込む)ことともからんでくる。
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